空色のこころ

心理カウンセラーの田中里美です☆よろしくお願いします

生と死と罪と心「教誨という名のカウンセリング」

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こんにちは!

カウンセラーの 田中里美 です。

 

友人のすすめで‥「教誨師」という映画を観ました。

とても良かったので、ここに紹介させて下さい。

 

 

☆映画紹介☆

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教誨師』(きょうかいし)

2018年制作の日本映画。 死刑囚と対話する教誨師を主人公にしたドラマ映画。

大杉漣、生前最後の主演映画で、大杉はエグゼクティブ・プロデューサーも務めている。なお、大杉は本作が最初で最後の唯一のプロデュース作品となった。

 

教誨師とは*

受刑者の育成や、精神的救済を目的とし、対話したり、教え諭す‥役割である。宗教的教誨は、牧師・神父・僧侶などが‥行うものである。

この映画では、刑務所にいる死刑囚が「死刑執行日」までを過ごす期間に、教誨師(牧師)と対話する様子が描かれている。

 

(*これ以下‥内容のネタバレ含みます。)

 

*ストーリー*

6人の死刑囚が登場し、教誨師と対話する様子が、断片的に描かれながら‥  それぞれの背景が少しずつ語られていく。

 

☆無言を貫き、問いに一切応えない男性

☆ヤクザの組長

☆年老いたホームレス

☆関西出身の中年女性

☆面会にも来ない我が子を思い続ける父親

☆自己中心的・挑発的な若者

 

佐伯(教誨師)は、彼らが自らの罪をしっかりと見つめ、悔い改めることで残り少ない “生” を充実したものにできるよう、そして心安らかに “死” を迎えられるよう、親身になって彼らの話を聴き、聖書の言葉を伝えようとする。

 

素直に聴く人もいれば、教誨師に対して反抗的だったり、教誨師を試そうとする人など、様々な人がいる。

 

「死刑判決」が決まっている彼等は、刑務所暮らしといっても、労働などは課せられず‥三食昼寝付きの生活の中で、自身の罪と向き合いながら、ただ‥「その日」が告げられるのを、待つだけである。

彼等にとって教誨は、人として対話が出来る‥貴重な時間だろうと思われる。

 

大杉漣演じる‥佐伯(教誨師)自身も、心に苦しみを抱えている。

死刑囚達との対話の中で、寄り添うだけじゃなく、迷ったり‥諭したり‥励ましたり‥

時には感情的になり、困惑することもあるけれど「逃げない姿勢」だけは一貫している。

 

死刑執行に立ち合い、最後まで逃げずに見届ける。

☆☆☆

 

ここには「私達の知らない世界・人間模様」が存在します。

 死刑を控えた人間の心と、正面から真っ直ぐに向き合う教誨師の心。

殆どが「対話」により構成されている「対話劇」という舞台を見ている気分になります。

それが、俳優陣の素晴らしい演技力により、心に突き刺さってくるような‥感覚があり、私は、物語に引き込まれていきました。

 

 

死刑囚達は、理由はどうあれ‥人を殺めてしまう罪を犯し、この場にいます。

被害者がいる以上、擁護することは出来ません。

 

しかし‥彼等にも「理由」があり、そうせざるをえない苦しさ(心)がありました。

 

佐伯はこう言っていました。

「私の役目は穴を見つめることだと思ってるんです。
そう。私の役目は、穴をあけないようにすることでも、だれがその穴をあけたのかを問うことでもありません。

あいてしまった穴のそばで、じっと、見つめることなんじゃないかって。」

 

私は、死刑囚が「その日」を迎えるまで、佐伯は「一人の人間として彼等と一緒にいよう。」と、覚悟しているように感じました。

☆☆☆

 

私は、ふと‥こんなことを思いました。

 

カウンセリングは、時に‥「懺悔」に似ているかもしれないなぁ‥  ということです。

 

自分の後悔や、相手への恨みの気持ち‥過去に執着した心、どれも苦しくて重たいものです。

でもこれ、誰しも持っています。人間ですから!

私は「話してくださった」ことを、何より一番大切と受け止めて聴くよう努めています。

 

「懺悔」に耳を傾ける「神父」の心が、どんな感じなのかは知らないですが‥

「肯定的受容・共感的理解」が大前提であるカウンセリングは、少しだけ似ているかもしれません。

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☆☆☆

 

人は死んだら‥どこに行くのか‥

答えを知る者はこの世にはいません。

 

良い行いをしていれば必ず報われ、幸せな最期を迎えられる? これも、わかりません。

 

では、罪を犯した人間と、そうでない人間の違いは‥? この答えだって難しいです。

 

佐伯の兄は、人を殺めて‥自殺した。

しかし‥佐伯は、兄が殺らなかったら自分が殺していたかも‥と思う。だから教誨師になった。

こんなふうに‥

時には、紙一重かもしれないのです。

 

生と死と罪‥は何かを問う。

人を殺めた人が、法律により殺められる死刑は正しいのか‥

この映画を観た人は、考えると思う。

その答えは‥考えた人の数だけあるのかもしれない。

 

大好きな役者さん‥大杉漣さんの、突然の訃報‥とても悲しくて残念でした。

彼の最期の作品が「教誨師」であることが‥彼らしく思ってしまう私がいます。

 

教誨」は、死刑囚が最期に受ける「カウンセリング」であり、人間としての最期の「対話の場」であると‥  そんなふうに思います。

興味が湧いた方は、ぜひ一度観てください。

☆田中里美☆

 

《 今日の空色 》ハッキリしないお天気が続き、空がまだら模様になっています。雨を降らす黒雲は嫌われ者ですか?確かに好きじゃないけど、どんなふうに‥この雲たちが、動いたり形を変えたりするのか、ずっと見ていたい時があります。5分後には、全然違う表情になっているときもありますから‥人間の心と同じで、繊細なのです。

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*田中里美・カウンセリングご案内*

https://www.uraraka-soudan.com/

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